ごあいさつ

ごあいさつ

社会文化科学教育部 教育部長 林 一郎社会文化科学教育部
教育部長 林 一郎

「United in diversity」(多様性の中の統合)

 これは、欧州連合(European Union, EU)のモットーですが、本学大学院社会文化科学教育部にも通じます。本教育部は、文学部系、法学部系、教育学部系および教授システム学系という文系を中心に理系にまで広がりのある多様な学問分野から構成される総合的な大学院であり、多様な国家が統合をめざすEUと類似しているからです。本教育部のこれらの多様性が統合して発揮されたとき、本大学院の強みが最大化することと思います。
 現在、高度な人文・社会科学系の人材へのニーズ、すなわち文系の大学院生へのニーズが日本社会において高まっています。国の第5期科学技術基本計画で提唱されたSociety 5.0は、AIとIoTにより、新たな価値を生み出し、従来社会の抱える諸課題を克服し、希望の持てる、世代を超えて互いに尊重し合あえる、一人一人が快適で活躍できる社会であるとされています。そして、「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿」(平成31(2019)年1月22日中央教育審議会大学分科会)では、Society 5.0の実現において、理工系の人材のみならず、高度な人文・社会科学系の知識を身に付けた人材の重要性が増していることが強調されています。すなわち、本大学院社会文化科学教育部で学ぶことには各大学院生にとっての個人的意義とともに社会的意義もあるのです。
 こうした社会的要請と大学院重点化政策のもと、本大学院は改革を継続しており、近年も2017年度に教員組織としての大学院人文社会科学研究部を設置し、2019年度には教育組織を大学院社会文化科学教育部と改め組織の充実を図りました。そして教育内容面でも、社会科学分野の法、政策、紛争解決の学問領域を統合する「法政・紛争解決学専攻」を2019年度に開設し、2020年度には「アジアユーラシア・グローバルリーダー養成のための臨床人文学教育プログラム」(卓越大学院プログラム)を開始しました。そして、2021年度には「熊本大学・マサチューセッツ州立大学ボストン校紛争解決学国際連携専攻」(ジョイント・ディグリー・プログラム)を開設しました。
 これらの新たな大学院教育を広く受けて頂けるよう入試改革も進めており、2020年度には一部推薦入試を導入しました。また、従来からのe-learningや2020年度からの遠隔授業方式は一般学生のみならず特に通学に困難を伴う社会人院生にとって利便性が高く大学院の魅力を増していますが、社会人のリカレント教育への対応をさらに進めるべく取り組んでいます。より多くの学部学生、留学生、社会人の皆さんが本大学院で国内外の学術知と実践知を融合させながらともに学び、多様性の中での統合の知的果実を得て頂ければと思います。
 現在国際社会は、“Leaving no one behind”の理念のもと包括的なSustainable Development Goals(SDGs)を推進しています。学問研究に従事する人には、これらSDGsとSociety 5.0を実現する特別な責務があるといえます。しかし、「学問の意義は、人類の知的認識領域の拡大」(文部科学省HP)です。本大学院で学問研究に精進することを通じて、自己実現のみならず人類の進歩に貢献していくことを強く期待します。