|
2010年4月26日の毎日新聞で本研究科OGの竹熊千晶先生の取り組みが紹介されました。
竹熊先生はNPO法人「老いと病いの文化研究所われもこう」代表で、大切な人に囲まれて人生を全うできるホームホスピス「われもこう」を熊本市内で開所され、在宅医療の充実に力を注がれています。毎日新聞ではホームホスピス「われもこう」について語っていただくと同時に、竹熊先生に理想の終末医療についても語っていただいています。
記事詳細はこちら
|
 |
|
このたび、本研究科研究科長の高橋隆雄教授の著書『生命・環境・ケア―日本的生命倫理の可能性―』(九州大学出版会、2008年)が、「日本医学哲学倫理学会賞」(日本医学哲学 ・倫理学会主催)を受賞しました。
『生命・環境・ケア―日本的生命倫理の可能性―』
【内容紹介】
ケア概念の新しい解釈を機軸にして,生命と環境をめぐる倫理的諸問題を統一的に捉え,その構造と連関を読み解くとともに,安楽死やエンハンスメント問題等に対処する,従来とは異なる視点も提示している。また,日本文化の基底にケア的なものを見出すことによって,本書は日本的な生命倫理の可能性を問うものでもある。
『生命・環境・ケア―日本的生命倫理の可能性―』の書籍詳細はこちら
高橋隆雄教授のホームページはこちら
高橋隆雄教授より
受賞対象となった本書がめざしたのは、ひとつには、これまで相互の関係が論じられることが少なかった生命倫理と環境倫理を、「ケア」という概念で結びつけることでした。もうひとつは、日本的な生命倫理は、自律や自己決定だけでなく「ケア」的な事柄や関係も重視しなければならないことを示すことでした。いずれもオリジナルな発想が必要ですが、それは、いくつかの研究ルートが交わることで達成されました。それらは(1)生命倫理、環境倫理、そして両者の関係についての研究、(2)「ケア」概念の研究、(3)日本思想の研究です。たとえば(3)において私が主張したのは、まず、「タテ社会」、「甘え」、「母性原理」といった日本の文化の特徴が、ケア的とでも呼べる性質を持っていることでした。次に、日本では神々を祀る(祭る)とは、神々をケアすることであり、日本文化のケア的特徴の源泉は神々へのケアにあるという説です。このような主張は、多くの重要な帰結をもたらしました。まず、(1)に関しては、神々は自然でもあるので、「自然へのケア」が考えられ、これにより、「ケア」概念は、人間を対象とする生命倫理、そして自然や動物等を対象とする環境倫理の基本概念になることが可能になります。さらに、(2)に関しては、ケアとは、神聖で犠牲的な行為というよりも、神々を祀ることのように、相手の要求に従うことで自分と相手の間によい関係を構築するといった、ある種の必然性や拘束を伴うという点です。こう考える方が、老親の介護の行き詰まりや幼児虐待という現実を直視できると思います。いろいろな領域の問題が実は共通の根を持っていることを示すことを、これまで私は目指してきました。本書も同じです。越境する知を楽しんでいただければ幸いです。
|
 |
|
このたび、文学部所属の佐藤哲彦教授の著書『覚醒剤の社会史―ドラッグ・ディスコース・統治技術』(東信堂、2006年)が、「2007年度 日本社会病理学会学術奨励賞」(日本社会病理学会 主催)、「2008年度 第7回日本犯罪社会学会奨励賞」(日本犯罪社会学会 主催)を受賞しました。
『覚醒剤の社会史―ドラッグ・ディスコース・統治技術』
【解説】
覚醒剤はその背後に夥しい社会的・歴史的視線をまとっている。その単なる薬理を超えた社会性を端的に示す「ヒロポンと覚醒剤とは違うものだ」とのひと言に導かれ、医学論文、国会会議録、使用者の告白など、言説分析を基底とする詳細な探究を通じて、覚醒剤そしてドラッグという現象の成り立ちを明らかにするとともに、さらに今日の社会のありようにまで考察を進める、わが国初のドラッグの社会学。
『覚醒剤の社会史―ドラッグ・ディスコース・統治技術』の書籍詳細はこちら
佐藤哲彦教授のホームページはこちら
佐藤哲彦教授より
昨年(2007)度の日本社会病理学会学術奨励賞に続き、今年(2008)度は日本犯罪社会学会奨励賞をいただき、大変光栄に思っています。受賞対象となった本書は、これまでわが国では社会学あるいは社会科学の対象とされてこなかった、ドラッグならびにドラッグ政策について論じたものです。研究の対象とされてこなかったことにはもちろん理由があり、実はそれ自体、本書のテーマの一つを構成しています。それは端的にいえば、われわれのドラッグに関する思考が、思考としては十分に機能していないということです。どのようにしてそうなってしまったのか、そしてそのような事態が指し示すこととはいったいどういうことなのか。これらが本書の根底的な問いかけとなっています。
また、そのような、研究の対象とされてこなかった、という事態が社会学内で指示することとは、従来の社会学的手法では、これらについて十分には分析できないということです。そこで本書では、ディスコース分析というあまりわが国ではあまり馴染みのない方法を基礎に分析を行うことになりました。
このように、ある意味で大きく回り道をしなくては十全には論じられない対象の研究というのは非常に時間のかかるもので、私自身、本書を書けるようになるには長い時間がかかりました。今回の受賞はその長い悪戦苦闘の時間に対して与えられたものだと思っています。今後も答えを急ぐことなく、一つ一つ丁寧に、正確に、読み解いていくという作業を中心に研究を続けていきたいと思っています。
|
 |
|
このたび、本研究科所属の秋吉貴雄准教授の著書『公共政策の変容を政策科学』(有斐閣 2007年)が、「2008年度日本公共政策学会学会賞奨励賞」(日本公共政策学会 主催)、「2008年日本交通学会賞(著書の部)」(日本交通学会 主催)、「第1回住田航空奨励賞」(財団法人航空振興財団 主催)を受賞しました。
『公共政策の変容と政策科学―日米航空輸送産業における2つの規制改革―』
【解説】 日本の規制改革はなぜ立ち遅れたのか!?
日本でも規制改革が謳われて久しい。「政策は、どのようにその限界と転換の必要性が認識され、どのように新しい内容が決定されるのか」という問いを掲げ、政策科学の枠組みを用いて日米の航空輸送産業の規制改革の過程を分析し、その規定要因を明らかにする。
『公共政策の変容と政策科学』の書籍詳細はこちら
秋吉貴雄准教授のホームページはこちら
秋吉貴雄准教授より
このたびは思いがけず公共政策学会賞奨励賞を受賞し、大変嬉しく思っています。受賞対象となった本書には、大きく二つの研究テーマがあります。一つ目は「政策科学」としての政策過程論を構築するということです。「どのように政策が決定されるか」という政策過程論は政策科学の大きな柱となっていますが、これまでは権力分析を目的とした政治学が主体的な役割を担っていました。そこで、本書では、「科学的知識がどのように投入され、政策内容に影響を及ぼすか」という知識活用の観点から分析枠組みを検討しました。
二つ目は、わが国の規制改革が立ち遅れた要因を解明するということです。規制緩和の代表例とされる航空輸送産業では、ほぼ同様の規制体制であったにもかかわらず、「自由競争」が達成された米国に対し、わが国では「管理された競争」という限定的な改革にとどまりました。そこで、本書ではその「謎」を政策科学の分析枠組みをもとに分析していきました。
私が専攻する政策科学は「政策決定にどのように知識を投入し、政策を改善するか」ということを志向する学問です。わが国において「特殊利益による政治」ではなく「知識の政治」を確立する方策の一助となるように、これからも研究を重ねていきたいと思っております。
|
 |